なぜ現代人は“食べすぎて栄養不足”になるのか
― カロリーと回復力のねじれ ―
私たち一般社団法人プラズマ療法研究会では、医療と生活の両輪から、健康を支えるあり方を研究しています。
この連載では、治療の方法そのものではなく、その先にある「体をどう支え、どう戻していくか」という視点を一貫してお伝えしています。
しっかり食べているのに、なぜ疲れが抜けないのか
「しっかり食べているはずなのに、疲れが抜けない」
「間食も多く、空腹ではないのに、なぜか満たされない」
こうした感覚を抱く人は、少なくありません。
それは、意志の弱さや食べ方の問題だけではなく、現代の食環境そのものが、身体の回復力と少しズレた構造になっていることも関係していると考えられます。
現代人は、歴史的に見ても非常に多くのカロリーを、手軽に摂取できる環境にいます。
甘味、脂質、精製された炭水化物。
少量でもエネルギーが高く、すぐに身体を満たした気分にさせてくれる食品が、日常にあふれています。
カロリーは足りていても、回復の材料は不足しやすい
一方で、身体が回復や修復のために必要とする要素は、意外なほど不足しがちです。
たとえば、ミネラル、微量栄養素、発酵による代謝の助け。
これらは、カロリーの高さとは必ずしも比例しません。
その結果、カロリーは足りているのに、回復に使える材料が不足するという状態が生まれやすくなります。
これが、「食べすぎているのに栄養不足」という矛盾の正体です。
栄養は「摂ること」だけでなく「使えること」が大切
リバースメソッドの視点では、栄養不足とは単に成分の問題だけではありません。
大切なのは、身体がそれを受け取り、必要な場所で使える状態にあるかどうかです。
消化が乱れていたり、自律神経が常に緊張していたりすると、摂取した栄養は回復に回りにくく、処理の負担として身体に残りやすくなります。
つまり、食べる量が多いほど、身体は「処理する仕事」を増やされている状態になることがあります。
回復に使うはずの余力が、消化や代謝の負担に向かってしまうのです。
「噛まなくても食べられる食事」が身体の準備を省略する
さらに、現代食は「噛まなくても食べられる」ものが中心になりがちです。
やわらかい食品、すぐ飲み込める食品、短時間で済ませられる食事。
これらは便利である一方、満腹感の遅れや食べ過ぎを招くことがあります。
また、消化の準備が十分に整わないまま、食事が身体に入る原因にもなります。
身体は、噛むこと、味わうこと、食事に集中することによって、「受け取る準備」を整えていきます。
そのプロセスが省略されると、どれほど食べても、身体は満たされにくくなります。
高カロリーな食事が「また食べたくなる流れ」をつくる
高カロリーな食事は、血糖の変動を大きくしやすく、一時的な活力のあとに、強い疲労感を残すことがあります。
この繰り返しは、「また何かを食べたくなる」という流れを生みます。
その結果、食事が回復のための時間ではなく、刺激を補うための行動へと変わっていくことがあります。
もちろん、食事を楽しむことは大切です。
ただし、疲れやすさや満たされなさが続くときは、食事の量や内容だけでなく、身体がそれを受け取れる状態にあるかを見直すことも大切です。
回復力は、足すことだけでは高まらない
回復力とは、単に栄養を足すことで高まるものではありません。
身体が安心し、余力を取り戻したときに、自然と立ち上がってくる力です。
だからこそ、リバースメソッドでは「何を足すか」だけでなく、「何を減らすか」にも注目します。
食べ過ぎ、刺激の多さ、情報の過剰。
それらを少し緩めるだけでも、身体は本来のリズムを思い出しやすくなります。
これは、無理な制限や我慢をすすめるものではありません。
身体にとって余白をつくるという、やさしい選択です。

満たされないときこそ、身体に余白をつくる
食べすぎているのに満たされないとき、必要なのは、さらに良いものを探し続けることだけではありません。
身体が回復に使える余白を取り戻すことです。
たとえば、次のような小さな見直しから始めることができます。
量を少し抑える。
食事と食事の間隔を空ける。
加工度の低いものを選ぶ。
よく噛んで、食事に意識を向ける。
それは制限ではなく、身体を休ませる選択です。
現代の食は、簡単にエネルギーを与えてくれます。
しかし、回復には時間と静けさが必要です。
その両方を取り戻すことが、カロリーと回復力のねじれをほどく鍵になります。
次回予告:添加物を「毒」ではなく「負担」として考える
次回は、添加物や加工食品を「避けるべきもの」としてではなく、「身体の負担」という視点から捉え直し、現代食との向き合い方をさらに深めていきます。
【現代食と身体のズレ編】
第8回「添加物は『毒』ではなく『負担』として考える」
― 身体が処理しきれないものの正体 ―
リバースメソッドの視点から、引き続き紐解いていきます。
※本コラムで紹介するリバースメソッドは、医療行為の代わりとなるものではありません。治療と併用しながら、体の土台を整え、回復を支えるための生活の視点を提供するものです。