私たち一般社団法人プラズマ療法研究会では、医療と生活の両方の視点から、健康を支えるあり方について考えています。
この連載でお伝えしているのは、治療の方法そのものだけではありません。
日々の食事や生活習慣を含め、「自分の身体をどのように支えていくか」という、健康の土台となる視点です。
食の情報に迷ったとき、立ち返りたいこと
糖質を控えるべきなのか。
脂質はどこまで摂ってよいのか。
タンパク質は多いほうがよいのか。
食に関する情報が増えるほど、「結局、何を食べればいいのだろう」と迷うことがあります。
そんなとき、一つのヒントになるのが、
日本では、これまでどのような食事が受け継がれてきたのか
という視点です。
日本の食文化は、海に囲まれ、山が多く、四季のある環境の中で育まれてきました。
米などの穀類に加え、魚、大豆、野菜、海藻、きのこ、発酵食品など、多様な食品を組み合わせることが、伝統的な日本食の特徴として挙げられています。
大切なのは、昔とまったく同じ食事に戻ることではありません。
そこにあった「日々の食事をシンプルに組み立てる知恵」を、現代の生活にどう生かすかです。
穀物は、日々のエネルギーを支えてきた
日本の食卓で長く主食の中心にあったのが、米をはじめとする穀物です。
穀類は、身体を動かすためのエネルギー源となる炭水化物を含みます。
なかでも玄米や大麦など、食物繊維を比較的多く含む食品を取り入れることは、食後の血糖値の急激な上昇を抑えることなどにもつながるとされています。
ただし、「精製されていない穀物なら多く食べるほどよい」というわけではありません。
年齢や活動量、健康状態によって必要な量は異なります。
主食だけに偏るのではなく、主菜や副菜と組み合わせながら、食事全体のバランスを見ることが基本です。
海藻は、日本の食卓に根づいた食材
わかめ、昆布、海苔、ひじき。
海藻も、日本の食文化を語るうえで欠かせない食材の一つです。
海藻類には食物繊維やミネラルなどが含まれ、毎日の食事にさまざまな食品を取り入れるうえでの選択肢になります。
何か特別な栄養素を大量に摂るためではなく、
味噌汁にわかめを入れる。
ごはんに海苔を添える。
そんな無理のない形で食卓に加えられてきたことも、日本の食文化の特徴といえるでしょう。
発酵食品を「健康にいい」の一言で終わらせない
そして、日本の食文化を特徴づけるものの一つが発酵です。
味噌、醤油、納豆、漬物など、さまざまな発酵食品が日常の食卓に取り入れられてきました。
発酵とは、微生物の働きによって食品の成分が変化することです。
一方で、「発酵食品だから消化がよい」「食べれば身体が整う」と一括りにするのは適切ではありません。
発酵食品は種類や製造方法によって含まれる成分も異なり、その健康との関係については現在もさまざまな研究が行われています。
だからこそ、特定の食品に大きな役割を期待するのではなく、毎日の食事の一部として上手に取り入れるという考え方が大切です。
「何を足すか」より、食事全体を見る
健康への関心が高まると、私たちはつい、
「何を食べれば健康によいのか」
「どの成分を補えばよいのか」
と、何かを「足す」ことに目が向きがちです。
しかし、本来の食事は一つの栄養素だけで成り立っているわけではありません。
主食、主菜、副菜を組み合わせ、多様な食品から必要な栄養を摂ることが基本になります。
リバースメソッドでも、特定の食品だけに答えを求めるのではなく、日々の食生活全体を見直すことを大切にしています。
昔の食事に戻るのではなく、昔の知恵を今に生かす
もちろん、現代に暮らす私たちが、昔とまったく同じ食生活をする必要はありません。
生活環境も活動量も、手に入る食材も大きく変わっています。
それでも、
主食を中心に、主菜・副菜を組み合わせる。
海藻や大豆食品、発酵食品など、なじみのある食材を取り入れる。
特定の食品や健康情報に偏りすぎない。
こうした考え方は、今の食生活を見直す際にも役立ちます。
新しい健康法を次々と試す前に、自分が毎日どのような食事をしているのか。
まずそこから確認してみる。
それもまた、健康について考えるための大切な一歩です。
味噌汁を飲むと、なぜ「ほっとする」のか
ごはんと味噌汁。
長く日本の食卓で親しまれてきた、とてもシンプルな組み合わせです。
温かい味噌汁を口にして「ほっとする」と感じる人もいるでしょう。
その感覚をすべて「日本人のDNA」で説明することはできません。
けれど、子どもの頃から慣れ親しんだ味や香り、温度、食卓での経験が、安心感につながることは十分に考えられます。
健康を考えることは、新しいものだけを探し続けることではありません。
自分が無理なく続けられる食事とは何か。
身近な食文化に目を向けることも、その答えを探す方法の一つではないでしょうか。
次回は「なぜ味噌汁が“整う食”なのか」
次回の【日本人の身体と食文化編】では、
第14回「なぜ味噌汁が“整う食”なのか」
― スープ文化と身体の関係 ―
をテーマに取り上げます。
味噌そのものだけではなく、「汁物として食べる」という日本の食習慣にも目を向けながら、毎日の食卓と身体の関係をリバースメソッドの視点から紐解いていきます。
健康を支えるために、特別なことを始める前に見直しておきたいもの。
次回は、そんな身近な一杯から考えていきます。
※本コラムで紹介するリバースメソッドは、疾病の診断・治療を目的とするものではなく、日々の食事や生活習慣について考えるための情報を提供するものです。治療中の方や食事制限のある方は、自己判断で治療内容を変更せず、医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。
